「ゲッスイトリエンナーレ'10によせて」
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ゲッスイトリエンナーレは、絵画教室アトリエ・サガンの講師、サカイトシノリが主宰する月曜・水曜クラスのメンバーによる3年に一度の展覧会です。
メンバーは20年来の付き合いのある方から、ひと月前に入会した方まで、老若男女様々です。ゲッスイに集まるメンバーによって講師自身が成長し、得た確信をみんなに投げかける。そんなキャッチボールが延々と続いてきました。多様なメンバーでありながらも『一つの大切な方針』を共有できる、このきわめて希な環境が、ゲッスイなのです。
『一つの大切な方針』とは「自らの本質を追い求める」こと。取り繕うことなく、自身をあるがままに眺め、自問を繰り返しながら制作する。あこがれの世界を描くのではなく、自らの表現で描くことです。
人には、食欲・金銭欲等いろいろな欲望がありますが、忘れてはならないのが表現欲です。表現が難しいとは言わせません。自分と向き合うことを避けなければ、答えは必ず生まれます。
そしてまた、絵を描くことは「絵空事」、まさしくヘッドワークです。何をどう考えどう行動するか、という普通の生活とまったく同じ。"センス"とか"才能"という言い方は、本質からかけ離れている。"雰囲気"も"気合"も必要ありません。
毎日、考えて描く。出来なければ、毎日イメージトレーニングをして制作に挑む。ただこれだけで、絵はガラリと変わります。
本展は、7つの個展と30人のグループ展によって構成されています。それぞれのメンバーが、静物のモチーフや風景を借りて「自らを表現」した成果です。個展を開催したメンバーは、より多く自らに自問したことでしょう。自問というその辛い作業が多い分だけ、作品が輝きます。今後も、この緊張感を楽しみ続けることを切に望みます。
最後になりましたが、本展の開催にあたり、ご尽力いただいた皆様に深く感謝いたします。ありがとうございました。 |
サカイトシノリ
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