2002年9月、初めてバリ島を訪れ、ヌサ・ドゥアのリゾートホテルに滞在しました。ホテルにて夜中、ホテルに到着すると、ホテルのマネージャさんが出てきました。そして、私たちが予約していたスイートルームは一杯になってしまったので、一晩だけヴィラに泊まって欲しいといいます。ヴィラはスイートよりも格が上の部屋というのは知っていたけれど、次の日部屋を移動しなければならないということもあり、不満を隠せず、マネージャさんに少々文句を言ってしまいました。が、それはとんでもない過ちでした。
そのヴィラは独立した棟というだけでなく、塀に囲まれ、独立した「庭・プール付二戸建」だったのです。玄関の木の扉を開けると、予想していなかったものが目の前にありました。母屋と離れの2つの家屋、プライベートプール、お庭、デイベッドなどなど。これらすべて私たちだけのプライベートスペースです。母屋には天蓋付のダブルベッドルーム、大理石のお風呂、シャワールーム、などがありました。流しは2つ、アメニティーは男性用・女性用にセットされ、ローションやシャンプー、ボディーソープなどはかわいらしい小瓶に、くし、歯ブラシなどは手すきの紙にくるまれ、麻の紐でキュッと結んであります。どれもこれも、一つ一つ、凝っているのです。
「離れ」には、ツインベッド、リビングスペース、バスルームがありました。1晩しかいられないのに二つも棟があって、使い切れません!!
翌日、午後3時までそのヴィラに居られるとのことで、ブルジョワな半日を過ごすことにしました。ヴィラ敷地内のプライベートプールの他に、10棟あるヴィラ専用のプールを発見。そこで午前中、気のおもむくままに泳いだり、プールサイドのデッキチェアに寝転んで青空と椰子の木を眺めたりしました。午後はビーチへ。ヴィラのお庭の裏口からビーチへ出られるようになっています。ビーチのデイベッドに腰掛けるとホテル従業員がやって来て、鍵を見せると、バスタオルを持って来てくれました。このデイベッドもヴィラ専用のようです。
ヴィラ客の特権を満喫したところで3時になり、お部屋移動となりました。いつかこのヴィラに自分達の力(経済力)で泊まろう、と決意したものの、ホテルマン曰く、ここは一泊2500ドル、約30万円!!
大企業の社長さんが会社のお金で泊まるようなところだそうです。社長になる予定はないのでちょっと無理かもしれません。
2日目から泊まったスイートは最上階(といっても4階)に位置し、ロフト付。木の茶色と、白が基調の小綺麗・小ざっぱりとしたお部屋です。1階はリビングスペースで、バルコニーからホテルの庭が一望できます。ロフトはベッドルームとバスルーム。はじめからこの部屋ならば、きっと、「きれい、広い、素敵」と大喜びで1階とロフトを行ったり来たりしていたことでしょう。しかし、一泊30万円を見てしまった後では、辛口チェックしてしまいます。ベッドのスプリングが柔らかすぎる、とか、アメニティーが味気ないプラスチック容器に入っている、とか。もちろん、どちらも快適でした。片方は感動的だったし、もう一方はきちんと期待通りプラスアルファ、ぐらいの快適さを提供してくれました。
一般宿泊客用のプール、ビーチに行ってみました。そこではセルフサービスでタオルをカウンターで借ります。プールサイドに行くと、アクアビクスをやっていたので、参加することにしました。ヨーロッパのお姉様方が多く参加していました。日本でアクアビクスというと、30分くらいで終るものですが、そこでは優に1時間はやっていました。ホテル内アクティビティはヨーロピアンスタンダード
(の体力)に合わせて組まれているようです。
私たちが泊まったのはスペイン系のホテルなので、スペイン人ゲストが一番多い、とのこと。プールでもビーチでも、トップレスの女性があちこちにいました。そして、バリ島を離れる前に、ホテルのスパでバリエステを体験。オイルマッサージ→ボディスクラブ→ヨーグルトローション→花風呂
のコース、1時間30分。至福のひとときを過ごしました。
ダンス:ケチャクダンスとバロンダンスを鑑賞ダンスといえば、鍛え抜かれた肉体と洗練されたパフォーマンスを期待してしまうのですが。バリのダンスはちょっと違いました。どちらかというと「演劇」で、開演前に渡されたあらすじを読みながら登場人物を確認していきました。バロンもケチャックも「善と悪」がテーマになっています。ケチャックは最後には善が勝つというお話、バロンは人間の中に共存する善悪を表現しているようです。
「普通の人がやっている“民俗芸能”だなあ」というのがおおむねの感想ですが、バリダンス教室を覗いてみたところ、女性ダンサーは両手の中指と薬指の間をパクパク開閉させてみたり、手首をクルクル回してみたり、上半身を不自然な程傾けて、眼は見開いて瞳を寄せていたりしました。また、ケチャックダンスのケチャケチャ言っている男性達は、目の下に薬草か何かを塗って、目を充血させたりするのだそうです。何故かといえば、それがいい、とされているから。いろいろ、細かい技が随所で使われているのですね。ゆっくりとした動きは見た目以上に体力・筋力が必要なので、バリダンサーの豪華な衣装の下は汗びっしょりなのかも知れません。
観察:バリ人の日本語
バリを訪れる外国人は日本人が一番多いとのこと。観光業に力を入れているこの島には、日本語を話せる人が多い。皆、バリ島内の「ジュク」で習うのだそうです。バロンダンス、ケチャックダンスを観に連れていってくれた現地ガイドのアンタラさん、劇場までの道程で、あらすじを説明してくれました。「ヨイとワルイがぁタタカウッ。ワルイがぁぁマケルッ」というような説明を聞いた後、私たちはショーを観ながら「ヨイだ」「ワルイだ」とか言ってました。
アンタラさんはとても日本語が上手なので、誉めたところ、「いやあ、まだまだです。アナがあったら、入りタイ」と言いました。こんな慣用句知ってるなんて凄い。でもちょっと使い方がちがうと思うのですが。いや、お恥ずかしい、ってなことを言いたかったのだろうなあ。
余談ですが、数年前中国を訪れた際の現地ガイドさんが、夕食後のオプショナルツアーを説明する時、きまって「今日の、ヨルのセイカツは…」と言ってはツアー参加者を喜ばせていました。きっと「Night
Life」をそのまま日本語に置き換えてしまったのでしょうね。誰も指摘してあげませんでした。帰りの空港でも、搭乗時刻が少々遅れるとのことで、「アタラシイのトウジョジコクは…」とアナウンスされました。外国の方が話す日本語は、なんだかほほえましく感じます。
あとがき
バリ島での想い出をエッセイにまとめていたところ、バリ島テロが報道されました。残念で、悲しいことです。残虐なテロ行為の背景には、誰が、何が、どちらが悪いと一概には言いきれない、根深く複雑なものがあるのだと思います。けれど、あの楽園はいつまでも楽園のままであって欲しいと願うのは、闘うことを知らず、食べるものにも困ることなく、ひたすら豊かさと平和を享受してきた私の夢想なのでしょうか。
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