Atelier Sagan
ご案内 スケジュール イベント トピック エッセイ リンク 各クラスが独自に運営するページです。 サイトマップ トップ
高橋さんの部屋 おでかけエッセイ 展評
藤島武二展
藤島武二展を観て/柴村純一


「モネ展に行きたいと思えど佐倉はあまりにも遠く・・・」
モネ展はついに観そびれてしまい、気づいたらもっと遠いところに行ってしまった。僕の薦めもあって、遠出した会員にカタログを見せてもらったが、晩年の作品に焦点をあてたよい企画だと思った。このようなモネ展は日本では初めての試みだと思うので、皆さん!名古屋まで行ってみては如何でしょう?

 カタログだけで展覧会報告をするわけにもいかず、今回はそのうめあわせといっては何だが、ブリジストン美術館で開催中の「藤島武二展」を紹介することにした。慶應3年、1867年生まれのこの画家の全貌がわかりやすく構成されている。8つのセクションにわけられ、前半の3つが初期から渡欧の模索にあたり、後半の4つは自分の表現を求めて集大成にいたる道程。そして、1つは創造の現場を紹介したものである。

 順路に沿って観ていくと、時を経て画風の変化がうかがえるが、全体を観終わった後もう一度戻って、自分が興味をもったセクションに的をしぼってみることを勧める。例えば、今回僕はセクション2の渡欧作にしぼった。イタリア滞在時のものがほとんどだが、特に注目したのがヴィラ・デステなどの水辺の風景の連作、ローマ・ポンペイ近郊の遺跡や寺院を描いたものなどだ。それら前に立って充分に味わった後、その作品がどのように構成され、どのような効果を発揮しているかを考え、自分の制作現場を思い出して重ね合わせてみる。そして、まるで自分が描いているような感覚をもつところまでいけるとよい。このことは相当な集中力を要するので、「描く側の眼で絵を見る」ということを覚える訓練のようなものだが、展覧会に行く機会があった時には是非やってみてほしい。

 カタログの中で藤島が「サンプリシテ」と「3つのトーン」について触れた文章が掲載されている。(カタログP12)前者は、複雑なものを単純簡潔に表現するような意味で、後者は、どのように複雑な効果をあげている絵画であっても、結局は3つのトーンに帰することができるという、西洋絵画の基本的な概念であると言っていい。このようなことが、藤島の滞欧作においては顕著に見られることも僕が滞欧作に特に興味をもった所以だ。

 藤島自身、滞欧時にはこの二つについてはうるさく言われたと語っている。そしてこのことが、帰国後、日本の油絵を創造するという、この時代的な考えに縛らざるを得なかったであろう藤島のなかでどのように消化されていったのか、疑問を感じるところだ。それはともかく、「サンプリシテ」と「3つのトーン」を頭の片隅にでも入れて観ると、また違った絵の見え方を感じるのではないかと思う。

 絵を観る、ということは簡単なようで本当は難しい、疲れるものだと思う。描くものの眼で観ること、識りたいと願って集中すること、そのような見方を自分の中で発見できたなら、絵を観ることも描くことも少しづつ変化してくるかもしれない。

 そんなこと、その他展覧会雑感など、今度また酒を酌み交わしながらおおいに語りましょう。


絵画教室 アトリエ・サガン 150-0011 東京都渋谷区東3-15-5 AYビル5F TEL/FAX:03-3797-5501
E-mail:info2@a-sagan.com
copyright©2002-2005 Atelier Sagan All rights reserved.