Atelier Sagan
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展評
「フイリップスコレクション展を観て」/柴村純一

 先日、六本木ヒルズの森ビルで開催中のフイリップスコレクションを観た。 一昔前のアメリカの富豪のコレクションは本当に質が高い。彼等はお金の使い 方をよく知っていると思う。著名な作家の作品がすべて傑作などということは あり得ないということも、、、。
グレコに始まりマチスまで、傑作と呼ぶにふさわしい名品が目立つ。 僕が行ったのは夜8時頃だったけど10時までやっているのはありがたい 以外とすいてて、これが上野だったらと思うと、、、。

 例えばモネの「ベトイユへの道」という40代の作品の前に立って左手を見れ ば、クールベの風景がかかっている。そのふたつの作品の印象の違いに観者は明快な差異を感じるだろう。しかしふたつの作品の制作年代はせいぜい25年 ほどの違いしかない。
クールベの作品を見た後、モネのそれはとても明るく見えるだろう。

 クールベでは明暗による深い奥行きの表現が成立しているが、モネの絵にそのような奥行きはなく、ブルー系と黄色から橙系の色相対比から空間が成立しており、前者のような深奥空間ではなく浅い空間が出現していることに気づく人もいるだろう。

 同じことがセザンヌ円熟期の傑作「ザクロと洋梨のあるショウガ壺」にも言える。上下2段の机に使われている黄土系の暖色と、バックの壁からショウガ壺、手前の白い卓布の陰、モデリング等に使われているブルー系統の対比効果、、。

 このふたつの作品の制作年代の違いはほぼ10年ほどだろう。同じように色相対比による空間表現ではあるが、あきらかな違いがある。それは近寄ったり離れたりして作品を鑑賞すればわかる。ここではそのことに触れるのは眠くなってきたのでまたこんど。

  絵画はすくなくともこの時代までは「空間芸術」であった。そして何より重要なことは空間芸術は視覚的なゆらぎをともなうことを身の上としているのであり、写真でもウェブ上でも感受することは不可能なのだということである。

  帰り道、村上某などのアート(情報芸術?)を眺めながらあらためてそう思った。




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