Atelier Sagan
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美術エッセイ
「デッサンと色彩について」/柴村純一

 マチスは晩年になって、自分のデッサンと色彩が分離していると悩んでいた。僕もデッサン展をやってみておよばずながらそのようなことを感じる。

  最近油彩から離れて透明水彩を扱っているのだが、デッサンと色彩との関係はどうもこれまで自分が考えていたものとは違うように思えてきた。色彩を明度関係に置き換えても、僕の感覚はその作品において実現されない。一般化された意味における明彩度、色相の諸関係をいくら考えても、こと絵画となるとそれは単なる約束事になってしまう。

  従来言われてきた色彩の明度段階置き換えによる翻訳は間違っているのではないかと思う。そしてそれはすでにセザンヌが気づいていたことなのではないか。セザンヌは「大気に屈することは遠近法に屈することだ。」と言っていた。

  なにかもっと強いビジョンが先行していないと作品は中途半端なものになる。ビジョンが前述のような約束事に追い越されるとなにか余計な物を付け足したような状態になってもたついてしまう。

  この「牽引する力」を失わないようにしなければならない。



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